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太陽と月の神話 43 大蛇に月に一度のみこまれる月 [太陽と月の神話]

月の魔女・小泉茉莉花です。
太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
本日ご紹介するのはフィリピン最後の秘境と呼ばれ豊かな自然が広がる
パラワン島に住む先住民族の1つ、バダック族に伝わるお話です。

昔、牛を放牧していた牧童が雷雨にあい、大急ぎで避難しました。
牧童はここで卵を温めていた大きな蛇に出会います。
あまりの恐ろしさに牧童は後先考えず、石を投げ、卵をわってしまいました。
激怒した大蛇は、「食い殺してやる」と叫びました。
逃げ出す牧童と追う大蛇。
追いつ、追われつ、地の果てまできて、天空に昇り始めます。
牧童は月に助けを求めます。
すると、大蛇が「そいつは私の子供を殺したのだ。助けてはいけない」
と月に叫びます。
どうしたらいいかわからず、月は太陽に相談しました。
「太陽さん、私は牧童を助けたい」
「なぜだい?」
「大蛇にでくわしたら、誰だって怖い。石を投げたのはわざとではない」
「では、大蛇の恨みはどうする?」
「そこが難しい」
太陽と月が相談した結果、大蛇に次のように告げました。
「大蛇よ。牧童は怖くて仕方なかったんだ。今回は罰金で許してあげなさい」
しかし、大蛇は聞く耳をもちません。たまりかねて月が次のように言いました。
「では、私を飲みなさい。毎月一度!これでいいか?」
大蛇は納得し、月に一度、月を丸のみするようになりました。
月が月に一度みえなくなるのは大蛇にのまれるからなのだそうです。


参考文献 太陽と月の伝説 森村宗冬 新紀元社
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