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太陽と月の神話 160   太陽、秘密を暴く(ドイツ) [太陽と月の神話]

こんにちは。太陽の魔女マリィ・プリマヴェラです。

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
今回はドイツに伝わる太陽にまつわるお話です。

その昔、ドイツのある町に、
人々からの尊敬を集めている仕立屋がいました。
彼は愛する妻と、それはそれは幸せに、
そして裕福に暮らしていました。

しかし仕立屋には秘密があったのです。
かつて盗みを働こうとして、ひとりのユダヤ人を叩き殺したのです。
そのユダヤ人は「お前の秘密はいつか太陽にばらされるぞ…」、
そう言って死んでいきました。

何年も前の出来事ですから、
町には事件のことを覚えている人などひとりもいなかったし、
仕立屋自身もすっかり忘れていました。

ところがある日曜日の朝のこと。
仕立屋がベッドで朝寝をしていると
太陽の光が差し込んできました。
すると仕立屋はなぜか笑いがこみ上げてきて、
大きな声で笑い続けました。
妻は何故笑うのかがわからず、しつこく理由を聞き続けたところ、
仕立屋はこう答えたのです、
「俺は何年も前にひとりのユダヤ人を殺したんだがね、
そのユダヤ人が死に際に、いつか太陽に秘密を暴かれると言ったんだよ。
でもさ、太陽がしゃべるわけがないだろう?
だから秘密なんか、ばれっこない!
それを思い出してね、おかしくてたまらないんだよ」。

夫が人殺しだと知った妻は、もはや愛が消え失せ、
恐ろしさを募らせます。
夫とともに生活することもできなくなりました。
そして、とうとう裁判官に全てを訴えたのです。
裁判にかけられた仕立屋は自分の罪を認め、首切りの刑に…。
処刑されるとき、仕立屋は言ったそうです、
「俺の秘密は太陽に暴かれた!」と。


参考:『太陽と月と星の民話』三弥井書店



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