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太陽と月の神話115 月の中の娘 [太陽と月の神話]

月の魔女・小泉茉莉花です。

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
今回は中国の黒龍江省に伝わるお話です。

昔、ボヤムチガという娘がいました。
とても美しく、賢くて、誰からも愛されましたが、貧しかったので、
両親は娘をお金持ちの家に女中嫁として売るしかありませんでした。

朝から晩まで皮をなめしたり、鹿の筋をぬいたり、芝刈り、野草摘みと大変な仕事は
みんなボヤムチガがやらされます。
桶をかついで、何往復もして、大きな水瓶をいっぱいにしていました。

男たちは家のことには一切口をださないで、すべて姑がとりしきっていたのです、

ボヤムチガの姑は嫁のすべてが気に入りませんした。
毎日あらさがしをしては嫁を怒っていました。

嫁ぎ先にはおいしい食べ物がいっぱいありましたが、
嫁には一切れの肉も一杯のご飯も食べさせず、
スープとおかゆの残りを与えるだけでした。
姑はイアリングを6っもつけ、装身具をたくさん買っていました。

嫁は靴をはきつぶし、二十いくつになっても一本のネックレスもつけたことがありませんでした。
姑は昼間は外出させず、夜、井戸に水くみに行かせました。
途中、桶から跳ねる水は嫁の涙でした。

これほどまでにしても、姑の心は柔らがず、しょっちゅう実家に返すといって脅しました。
息子はボルムチガをかばっておいておこうといいましたが姑は聞き入れませんでした。

ある晩、ボルムチガはまた水くみにいって、
村はずれの川のほとりを通りかかりました。
さらにどんどん歩いていくと牧草地に水が溜まっているところがあり、
そこにまんまるの月が写り、やせこけた人影を映していました。
それが自分の姿だとは気がつかずに、つぶやきました。
「可愛そうに私はひとりぼっちで月にも及ばない。
月は欠けても、また丸くなるけど、私はいつになったら自由になれるのかしら?」

ここまで考えて、ボヤムチガは月にむかっていいました。
「月よ。あなたに力があるなら、どうかわたしをもちあげて天に救い出してください」
すると鏡のような月に一本の大きな木がはえて、長い枝をボヤムチガの前までたらしました。
ボヤムチガは急いで桶を置くと枝につかまり、空にのぼっていきます。

ボヤムチガは天に昇り、永遠に月に住んでいます。
今も月の大樹の下でにこにこ笑っているボヤムチガの姿がみることができるでしょう。

参考文献 世界の太陽と月と星の民話  日本民話の会・外国民話研究会編訳 三弥井書店

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