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太陽と月の神話106 月男 [太陽と月の神話]

月の魔女・小泉茉莉花です

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
今日は、インドネシアのニアス島に伝わる月男のお話です。

ニアス島にラウエンドローナという名の男がいました。
いつもいらいらしていて、落ち着かないこの男は死にたくなくて、
永遠に生きたいと思っていました。

会う人ごとにどこにいけば死なずにすむのか聞いて回っていました。
木にも川にも泉にも聞いてみました。
もし、どこかに死ななくてすむ場所があるなら、そこに住みたいものだと
ラウエンドローナは言っていました。

ラウエンドローナは世界中探し回りましたが、死のない場所はどこにもありませんでした。
そこで月にきいてみようと思い立ちました。

月にきいてみると
「私は決して死にません。あなたもずっとここにいていいけど、何も食べてはいけません。
月はどんなときも汚れてはいけないのです。
あなたが食べずに生きていくには、内臓をとりだす必要があります。
内臓を取り出して、かわりにおなかに鉢をいれなさい。
それから絹糸をいれて腸のかわりにするのです。」

ラウエンドローナは言われた通りにして、月と一緒に空にすむことになりました。
それでラウエンドローナは月男とよばれています。

ラウエンドローナは妻のシワリアにも、同じようにしてほしいと頼みました。
けれど、シワリアは断りました。
ラウエンドローナは怒って言いました。
「それなら、大地の中心に縄をつけて結び付けてひっくり返してやる」
そういうがいなや、ラウエンドローナは竹を手にとって、
中に長い縄を通しました。
そして、その縄を大地の中心に結び付けようとしたのです。

これをみたシワリアは、急いでキンマとビンロウの実をかんで
できた赤い液を竹竿の中にいれました。

赤い液はねずみにかわって縄をかじりました。
竹竿の中の縄は短くなって大地の中心まで届きませんでした。

それで大地は今もひっくりかえっていないのです。


アジアの星物語 海部宣男監修 「アジアの星」国際編集委員会 編より
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