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太陽と月の神話97  ふたつに割れた太陽(ロシア・バシキール) [太陽と月の神話]

こんにちは。太陽の魔女マリィ・プリマヴェラです。

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
今日は、ロシアはバシキールに伝わる太陽のお話をご紹介しましょう。

遠い昔のこと。
空には太陽がふたつありました。
ふたつの太陽が一気に地上を照らすのですから
絶え間なく光が射し、夜がありません。
人々は十分な眠りを得ることすらできませんでした。

ある大地主は考えた末、こう言いました、者には
私の娘を妻に与え、
さらには財産も与えよう」。

国中から腕自慢の男たちが集まりました。
そして次々と太陽目がけて矢を射ったのですが、
太陽に傷をつけることすら、誰にもできなかったのです。

最後にウラルという男が矢を射る番になりました。
彼の道具は、角で作った弓。
そこには油を塗った動物の筋で作られた弦を張り、
矢は硬い硬いダイヤモンド製。
ウラルが弓を引きしぼり、えいやっと矢を放つと、
グィィィンという、うなるような音が鳴り響きました。
山々が崩れ、皮の流れが止まってしまうほどの音です。
そしてダイヤモンドの矢は、ひとつの太陽の真ん中に突き刺さり、
太陽を貫いて、真っぷたつに割り、さらに遠くのほうへと富んでいったのです。

太陽の半分は、そのまま空にいましたが、
もう半分は地上に落ちて、大きな山になりました。
空に残った太陽も、輝きをなくしたのです。
おかげで夜は夜らしく暗くなり、
ひとびとはぐっすり眠れるようになりました。
また昼の光も弱くなったので
働きやすくなったということです。



参考:『世界の太陽と月と星の民話』
編訳・日本民話の会、外国民話研究会(三弥井書社)

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