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太陽と月の神話65 月の家を訪ねた男 [太陽と月の神話]

月の魔女・小泉茉莉花です。

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
本日ご紹介するのは、イヌイットに伝わるお話です。

ひとりのイヌイットが月の家を訪問したいと思い立ち、月夜の晩に自分の家の灯りをすべて消して、
暗闇の中に座っていました。
すると、彼を守っている精霊があらわれました。
「月に行きたいのだろう?」
「はい」
すると、精霊が男性を抱えて、天空に飛びあがり、月につきました。
月の家は白鹿の皮を張りつめた、こじんまりとした作りで、青白い光を放っています。
月は家の前に座っていました。
男は「家の中には誰がいる?」と首をかしげました。
こっそり中をうかがう男。
部屋にいたのは太陽でした。
太陽は月の妻だったのです。
のぞかれていることに気がついた太陽は猛烈に火炎を発したので
男は太陽の姿をみることができなくなりました。

月世界には多数の鹿が歩き回り、大きな家にはたくさんのアザラシが泳ぎ回っていました。
「すごいですね」と男が月に言います。
「こんなものでよければ、好きな動物を一頭づつあげるよ」
男は大喜びで鹿とアザラシを選びました。
月が選んだ二頭にそっとふれると、月から地上におちていきました。
鹿とアザラシはこうやって、地上にあらわれ、イヌイットにとってかけがえのないものとなったのでした。

参考文献 太陽と月の伝説 森村宗冬  新紀元社


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