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太陽と月の神話 第163回  月の中のモクセイの木  [太陽と月の神話]

月の魔女・小泉茉莉花です。

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
今回は中国に伝わる月と太陽にまつわるお話です。

昔、山奥に、母親と娘2人の一家3人が住んでいました。
母親は家でブタを世話し、娘二人は山のそば畑で雀の番をしていました。

ソバ畑の向かいの竹林には人食いの化け物が住んでいました。
娘二人が鳥追いの声をかけていると、化け物は老婆にばけて、二人の呼び声をまねました。
二人はこわくなって家に駆けって戻りました。

翌日は母親が鳥追いにでかけると、化け物はまた老婆に化けて、鳥追いの声を真似ます。
母親が起こると化け物は泣きながら、
「頭のシラミがかゆくてたまらないけど、自分では見えないし、捕まえられない。
雀を追うからシラミのとりあいをしよう」と言いました。
でも、化け物は母親のシラミを二つつかまえたところで、頭を割って、脳みそを食べて、
たちまち元の姿になって、母親を食べてしまいました。

さらに、化け物は母親を迎えにくる娘二人を待ち伏せしてこう言いました。
「母さんは山のむこうの粉ひき場にトウモロコシを焼きにいって帰れないから、
今晩は私のところに泊まってといってたよ」と。

そして、二人をひっぱって洞窟の家に連れていくと、火をおこすように言いつけて、
妹にはアメをやって寝にいかせました。
「何を食べているの?私にも少しわけて」と姉が妹に声をかけると
「妹はもう寝たよ。私はトウモロコシの粉を食べているんだ」と化け物が答えます。
妹が戸のすきまからのぞくと、髪をふりみだした化け物が妹の足をかじっていました。

姉は縫い針を戸に一本、壁に一本さすといいました。
「縫い針、縫い針、代わりに返事をしておくれ」
姉はすぐに家に向かって逃げ出しました。

化け物は今度は姉を食べようと「どこにいるんだい」と叫ぶと、
戸が「ここだよ」と答えました。
化け物が戸のところに行くと誰もいません。
もう一度呼ぶと、今度は壁が「ここよ」と返事をします。
戸と壁を行ったり、来たりして、化け物はすっかり混乱してしまいました。
声のする方をたたいたら、針が手にささって、ようやく引っかかったことに気がつきました。

おいかけてきた化け物にたちまち、おいつかれそうになったので、モクセイの木に隠れました。
そのとき、月がでてあたりを明るく照らしました。
姉は、「月のおばあさん、化け物に食べられてしまう。助けてください」とお願いしました。

月は銀の鎖をたらして、鎖をモクセイの木に結ばせると、ゆっくり木とともに姉を
月宮に引っ張り上げました。
十五夜の夜に月を見たら、今でもモクセイの木の影がみえます。

姉が天にのぼっていくとき、地上に影が映りました。
化け物はそれをみあげて「どこにいく!」と叫びました。
「月のおばあさんのところに遊びにいくの。後であなたも迎えにいくわ」

姉と月のおばあさんはわら縄をおろしました。
化け物が縄をつたって、半分ほどのぼったところで姉は鎌で縄を切りました。
化け物は墜落しました。方解石は化け物の骨の破片だそうです。



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