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太陽と月の神話 93 月になった男 [太陽と月の神話]

月の魔女・小泉茉莉花です。

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
今回ご紹介するのはロシアの月になった男です。

月は昔男の人でした。
男は湖のほとりに立っている家々をまわってものごいをしてくらしていました。
裕福な家もあれば、貧しい家もあり、
たくさん食べ物をくれる家もあれば、何もくれない家もありました。

男はたくさん食べて満足すると上機嫌になって、
みんなの顔を眺めてはにこにこして歩いていたと思うと、
そのうちどこか遠くにいってしまうのでした。

あるとき、男が一軒の家に行って食べ物をもらおうとすると
けちな女が、
「まだうちじゃあ、なーんにも煮てないわ」といいました。

男は腰をおろして食べ物が煮えるのをまっていましたが、
女はわざとぐずぐずしていました。
男は待ちくたびれて、だんだんやせ細り、
そのうちあきらめて出て行ってしまいました。
すると女はひとりで料理をたいらげました。

男は近所の家にいこうと思いましたが、
もうどこの家でも寝ている時間でしたので
その晩は仕方なく、すきっぱらをかかえて寝てしまいました。

翌日すっかりやせ細った身体で食べ物を探して歩き回ります。
骨と皮になって歩くうちに、一軒のうちでご馳走にあずかりました。
男はたらふく食べて、腹いっぱいになって、すっかり満足すると
またどこかに姿を消してしまいました。
それから何日かして戻ってきたときにはまたげっそりやせ細っていました。

こうして男はうろうろ歩きまわるうちに、いつのまにか月になってしまいました。
そして、今では、湖の周りを歩き回っていたのと同じように
地球のまわりをまわっています。

参考文献 世界の太陽と月と星の民話 日本民話の会・外国民話研究会編訳 三弥井書店



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