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太陽と月の神話199  ウサギ、太陽を取り戻す(ロシア・エスキモー) [太陽と月の神話]

こんにちは。太陽の魔女マリィ・プリマヴェラです。

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
今日は、ロシアのエスキモーの間に伝わる太陽のお話をご紹介しましょう。

あるときのこと。
トゥンガクと呼ばれる魔物たちが太陽を盗んでいきました。
ツンドラでの出来事です。

太陽がなくなったため、ツンドラに住む獣も鳥も
みな、暗闇の中で手探りで生活せざるを得なくなり、
大変困ってしまいました。
そこで、賢者である老ワガリガラスが獣や鳥を集め、こう言いました。
「この土地からそう遠くない所の地下深くにトゥンガクが暮らしている。
盗んだ太陽を白い石の器に入れているそうだ。
それを奪い返そうではないか!」。

そして力の強いヒグマを候補に挙げたのですが、
ヒグマはご馳走を見つけると太陽のことなど忘れてしまうだろうということで、却下。
狼も候補に挙がりましたが、
トナカイを見つけて舌鼓を打つうちに太陽のことを忘れるだろうと、これも却下。
最後にネズミが言いました、
「ウサギは跳ねるのが得意だから、飛び跳ねて太陽を捕まえられると思う」と。

そこでウサギが太陽を奪い返しにいくことになりました。
何日も何日も歩いていくと、地面の裂け目から光がもれている場所があります。
中を覗くと、大きな白い石の入れ物の中に
煌々と輝く毬が入っているのがわかりました。
その明かりが、地価の国を明るく照らしていたのです。

ウサギがそーっと地下に降りていくと、さいわいトゥンガクはみな、眠っています。
そこで白い石の入れ物に入った輝く毬をつかみ取り、
後ろ足で思い切り地面を蹴って、地上へと飛び出しました。

それに気づいたトゥンガクはウサギを追いかけます。
ウサギは一目散に逃げていきます。
もうすぐトゥンガクに追いつかれるというところで
ウサギは赤く輝く毬を手で叩きました。
すると毬は割れ、大きい片割れと、小さい片割れの2つに。
小さいほうを上へ放り投げると、天へと高く上り、月になりました。
大きいほうを、もっと力を込めて上へと投げると
天にくっついて太陽になりました。
そのとたん、地上はパッと明るくなり、
トゥンガクたちは、その明るさに目がくらんで、地下の国へと戻っていきました。

以来、トゥンガクは一度も地上には現れていないということです。


参考:「太陽と月と星の民話」三弥井書店


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