SSブログ

太陽と月の神話195 太陽の息子エリダノス(イタリア) [太陽と月の神話]

こんにちは。太陽の魔女マリィ・プリマヴェラです。

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
今日は、イタリアに伝わる太陽の神話をご紹介しましょう。

エジプトを船出してイタリア北部の大きな川のほとりに住み着いたエリダノス王子は、
馬車ごと川に落ちて死んだといわれています。
そのエリダノス王子こそ、太陽の息子。

「何の証拠があって太陽の息子というのか」
その言葉を漏れ聞いたエリダノスは、
かーっとなって、太陽の住まう家に行きました。
光の馬車に乗り込む前のしばしの休息をとっていた太陽に会うためです。

父親である太陽は、光り輝き、
まぶしすぎて真正面からその顔を見ることができないほど。
いえ、実際、人間は太陽をまっすぐにみることはできなかったのです。

エリダノスもまた、父である太陽のまぶしさに
その目を伏せてしまいました。
が、太陽は優しい声でエリダノスに聞きます、
「なぜ、ここにやって来たのだ?」。

エリダノスは「僕が太陽の息子である証拠がほしかったから」と答えました。
そして「1日だけでいいから、お父さんの火の馬車に乗って
空を飛ぶ馬の手綱を握らせて!」と頼んだのです。

「それだけは無理だ!」と太陽は拒否しました。
なぜって、太陽神をしても
天かける”火を吐く馬“を御すことが難しいのですから。
朝、空に急上昇し、昼には天高く上り、
夕方には急降下することがどれほどの技術を必要とするか、
一生懸命に語りました。
けれど息子エリダノスは頑として意思を曲げようとはしませんでした。

仕方なく、空の軌道を絶対に外れないようにと言い聞かせ、
馬車を息子に渡しました。
意気揚々と馬車に乗り込んだはいいものの、
馬たちはすぐに軌道をそれ、天高く舞い上がったかと思うと
今度は地上スレスレを走を走ったりと、
勝手な走り方をし始めました。
馬が吐き出した火によって木々は燃え、
森や作物にまで火が広がります。

神々の王である雷の神は、
太陽の馬車の暴走を一刻も早く止めないことには
世界が破滅してしまうと考え、
一気に稲妻を飛ばしました。
稲妻はまっすぐに空を切り、御者であるエリダノスを打ち付けます。
馬車は引っくり返り、
エリダノスは真っ逆さまになって大きな川に落ちてしまいました。
こうして彼は命をなくしたのです。

その川は、彼の名をとり、エリダノス川と呼ばれたということです。


※ギリシア神話ではパエトンの話として知られています。
166話 をご参照ください。


参考:「太陽と月と星の民話」三弥井書店


posted by taiyonomajo at nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:占い