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太陽と月の神話185  太陽を救う兄妹(中国・トン族) [太陽と月の神話]

こんにちは。太陽の魔女マリィ・プリマヴェラです。

太陽と月にまつわるお話は世界中にたくさんあります。
太陽と月の魔女ブログでは、そんなお話をご紹介していきたいと思います。
今回は中国トン族に伝わる太陽にまつわるお話です。

昔、太陽は沈まず、一年中が明るい春のようでした。
人々は満ち足り、太陽を宝物そのものだと思っていました。

そのころ、地下には人を食う悪魔シャンジュがいました。
シャンジュは太陽を見ることを最も恐れていました。
というのも太陽に照らされると何も見えなくなり、一歩も歩けなくなるから。
そのため太陽を心の底から憎んでいたのです。

シャンジュは999人でようやっと抱えられるほどの太い鉄のこん棒を作り、
ある日、このこん棒で太陽に殴りかかりました。
太陽はかけられている金のカギから外れ、天から落ちてしまいました。
とたんに世界は真っ暗闇に…。
そしてシャンジュは暗闇の中で人間を食い荒らしたのです。

兄クワンと妹メンは、人々と相談し、太陽を見つけ出して、
天に引き上げることにしました。
兄クワンは長い長い杉のはしごを作りました。
妹メンは、太陽を吊るすための麻縄を作りました。

妹メンはさんざん歩いた末に、太陽を見つけることができました。
ところが嬉しさのあまりに笑い出したその声は
悪魔シャンジュの耳に届き、食われてしまったのです。

兄クワンは太陽をかけていた金のカギをさがし出し、
縄を通して、天のはしごを伝って地上に降りてきました。
こうして太陽はようやく天に引き上げられたのです。

悪魔シャンジュは、太陽の熱く明るい光に目を傷めつけられ、
地下へと潜ろうとしましたが
人々は一斉にシャンジュに殴りかかり、
この悪魔を撃ち殺してしまいました。
こうして人々にまた幸せな日々が戻ったということです。


参考:「太陽の月と星の民話」日本民話の会・外国民話研究会/三弥井書店



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